都道府県所管の公益認定はどうなるのか!
2008年9月29日

非営利法人総合研究所(公益総研)
主席研究員 福島 達也

 

すべての都道府県の合議制の機関の委員が出そろった。

少ないところでは、徳島県や高知県の4名。多いところでは、沖縄県や三重県の7名。変わったところでは、東京都の6名。その他の県はすべて5名で構成されている。

しかし、当初から懸念していた問題がそこには潜在している。
それは、すべてが県内の有識者だということだ。

私は以前から、合議制の委員会のメンバーはどんなことがあっても県外から選ぶべきだと指摘していた。
もちろん、経費がかかること、遠方を理由になかなか受けてもらえないこと、県内の事情がよくわからないこと・・・・など、問題がないわけではないのだが、逆に、県内の有識者の場合、どんな人でも、認定を受ける側の公益法人のいくつかと何かしらの関係があることが多い。
つまり、本当に公平中立的な審査をするときは、利害関係が何かしらある立場では、かなりやりにくいのではないかということを懸念していたのだ。

ところが、残念なことに、ほぼすべての都道府県が、会議を開催しやすくすることだけを優先して、県内の有識者にしてしまったのだ。
しかも、都道府県の中には、大学の先生、弁護士や公認会計士等の国家資格者、企業の代表などの他に、認定を受ける側の社団法人や財団法人、さらにこれから公益認定法人を検討するであろうNPOの関係者が含まれている県もあるのだからビックリする。

自分が理事や評議員を務めている法人の審査をする場合は、おそらくその議論の際から席をはずすことにするだろうが、直前まで役員等をしていたり、顧問をしていたり、事業に携わっている人はどうなるのだろうか?
おそらくそういう何かしらの関係者を外していくと、変な話、ある法人の審査の際に、席に座る先生が一人もいなくなるということだってあり得るのだ。

実は私が知っている公益法人の一つに、まさにそういう法人があって、「認定委員会の先生は、全員かつての理事や講演者、機関誌の執筆者など、何かしらの知り合いだから、おそらくうちは大丈夫だろう・・・」と役員の一人がうそぶいていたのだ。
まさか、そういう法人を特別扱いするようなことはないと思うのだが、そのようなことがあるかもしれないと考える人がいるのは事実だろう。

隣の県くらいなら、それほど経費も時間もかからずに選定できたはずなのだが、なぜそうしなかったのか、そして、そのことについてだれも問題視しない、この業界の仲間意識というか、危機意識はいかがなものか。

審査が始まってもいないこの段階で、委員の先生から「おたくは心配することは何もない」などとお墨付きをもらっている法人があることも気になる。
こういう話が独り歩きすると、委員会の先生を一人も知らないような法人は、かなり不安になるであろう。

かつて、許認可や事業に有利だからといって、省庁のOBを天下りとして受け入れてきた公益法人も多かったが、これからの流行は、認定委員会の先生を顧問にしたり、講演に呼んだり、研究室に寄付をしたり、認定委員のOBを天下りとして受け入れたりすることかもしれない。

ただ、マスコミもこの辺りはきっといつか問題視し、公益認定を受けた法人と認定委員の関係などを調べ上げて公表することだろう。
もちろん、関係があったとしてもどこかの教育委員会ではあるまいし、不正をする人は一人もいないと信じている。
しかし、国民がそういう記事を見た時にどう思うかということまで考えての選定なのか、疑問が残る。

そこで、福島流の改善策を提案する。

選ばれた先生方はみんな素晴らしい先生たちなので、この方たちはそのまま認定委員を務めてもらうのだが、選ばれた都道府県ではなく、都道府県を地域で分類し、その中で先生方をシャッフルしたらどうか。
例えば、徳島の先生が高知に回ったり、埼玉の先生が群馬に回ったり、そのくらいならばそれほどの負担ではないはずである。
もちろん、そんなことが不可能なことはよくわかっている。ただ、今後マスコミが問題視した時に、このようなアイデアが検討される日が来ると思うので、先に提案しておくのだ。

最後に問題定義をもうひとつ。

合議制の機関である、認定委員会や認定審議会の開催の少なさがとても心配だ。
委員会の頻度は、1カ月に1回とか、2か月に1回の都道府県が多く、まだ法律の説明をしているような県もあるのだ。
これでは、スタートの12月までに、政府令や内閣府認定委員会の作成したガイドラインの読み込みすら間に合わないのではないだろうか。
そこで、申請する側が、法令や制度をしっかり勉強していて、審査する側がそのレベルまで達していないということがないよう、ぜひ回数を増やすことを提案したい。

誰もが安心して申請ができ、誰もが納得できる判定が下されることを願って止まない。

公益総研株式会社 非営利法人総合研究所

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